乳幼児に多い多い特定疾患【ランゲルハンス細胞組織球症の症状】

乳幼児に多い多い特定疾患【ランゲルハンス細胞組織球症の症状】

ランゲルハンス細胞組織球症の症状

ランゲルハンス細胞組織球症は、特定の臓器に病変が見られるケースもあれば、いくつもの臓器に見られるケースもあります。
それらにより現れる、あるいは感じられる症状が異なってきます。

軽い症状の場合には、発熱や皮疹などが見られます。
どの臓器が罹患するのかにもよるものの、中耳炎や骨の痛み、呼吸不全などが発現することもあり、また、黄疸や貧血、血が出やすくなるなどの症状も一部の患者で見られます。
その他、リンパ節腫脹や運動障害などが見られることもあります。

これらは個人差がありますし、程度にも大きな違いがあるため、症状のみでランゲルハンス細胞組織球症であると判断するのは困難です。
骨に病変が見られる場合にはコブができることがあり、また骨に穴が開くケースもあります。

気付いた時には既に遅く、そこから症状が急速に進み、命に関わることもなくはありません。
歯がぐらつく、慢性的な下痢、息切れ感なども症状として知られているため、注意深く観察することが求められます。

引用:https://plaza.umin.ac.jp/sawamura/braintumors/langerhans/

罹患する原因

ランゲルハンス細胞が急激に増殖することにより発症すると言われています。
それが皮膚や骨、各臓器などであらゆる症状を引き出すわけですが、そのメカニズムに関しては未だ解明されていません。

ランゲルハンス細胞組織球症を患った人の半分以上でBRAF遺伝子に何らかの異常があるという報告があるため、確定的ではありませんが、何らかの因果関係があると考えられます。ただ、すべての罹患者に該当するわけでもないことを考えると、慎重に受け止める必要もあるでしょう。

炎症を引き起こす細胞や骨を破壊する細胞が集中していることが、ランゲルハンス細胞組織球症により病変した骨や臓器などに認められており、これが組織の破壊へと繋がっていることはわかっています。その根本的原因に関しては、はっきりとはしていません。

1%ほどの割合で、家系内に同疾患の人がいると言われています。
また、一卵性の双子の場合、共にこの疾患を罹患する可能性が高く、このことからも遺伝が無関係とは言えないという指摘もあります。
ただ、割合などから見ても、遺伝的要素はあくまでも原因の一つであって、必ずしもそれに限定されるものではありません。

疾患の概要

ランゲルハンス細胞組織球症は主に乳幼児が罹患する難病としての認識が広がっています。
確かに最も多く罹患するのは乳幼児ではあるのですが、年齢関係なく発症する難病であることは知っておくべきでしょう。

ランゲルハンス細胞組織球症という名称が登場したのは、1980年代のことです。
それ以前からもこの病気は存在していましたが、症状の違いから複数の病名が使われており、それが1987年に統一され現在に至っています。

ランゲルハンス細胞組織球症は単一臓器型と多臓器型に分類されます。
前者は主に骨に病変が見られ、成人に関しては肺が病変するケースも報告されています。
後者は骨に加え皮膚などに病変が認められ、あるいは肝臓や脾臓などが侵されることもあります。

罹患者数

患者数は160人から180人ほどとされています。(成人型の場合)

乳児に関しては1年間で20人ほどランゲルハンス細胞組織球症と診断されており、乳児以外の小児に関しては同じく40例ほどとなってはいますが、成人でも30例ほどこの難病を発症しているという報告があるため、そこまで大きな差は認めれないというのが実際のところでしょう。
割合としては乳幼児が全体の3分の2、成人が3分の1程度となっています。

発症率は20万人に1人で、年間で100人前後が発症しています。
多臓器型に関しては、罹患者の多くが3歳未満であり、特に1歳未満に発症するケースが多くなっています。
あくまでも傾向ではありますが、小児に関しては男児に発症傾向が強く見られている点も留意しておくべきでしょう。

治療とケア

ランゲルハンス細胞組織球症には単一臓器型と多臓器型があると説明しましたが、これらによって、あるいは罹患した臓器や症状の度合いによって治療法が変わってきます。

一つの臓器のみに罹患し症状も特に深刻でなければ、特別な治療はせずとも自然治癒により回復することがあります。
複数の臓器に問題がある場合には、抗がん剤による治療が行われます。

単一臓器型であっても病変が複数認められるのであれば、抗がん剤が使用されるケースが出てくるでしょう。
場合によっては移植なども行われますが、治療法に関しては確立されていると考えて問題ありません。

予後

小児に主に発症すると聞くと心配にはなりますが、生存率はほぼ100%です。
多臓器型で一部80〜90%の生存率となっていますが、化学療法や造血細胞移植などにより完治させることが可能です。

ただ、肝臓や脾臓などに発症すると、若干死亡率が高まります。
患者の中には尿崩症などの後遺症が出るケースも少なくなく、難聴や神経障害などが発症する可能性もあります。
予後は型や症状や罹患部位によって差があり、再発の可能性もあるため、丁寧な治療と経過観察が求められてくるでしょう。

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