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特定疾患の研究と研究に携わる研究医の現状

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特定疾患の研究は海外に後れを取っているのが現状

医療分野における日本のレベルは、世界でも非常に高いところにあると評価されています。
医師の知識や技術も非常に優れたものであり、それこそが日本人の寿命が延びていることにも直結しているのでしょう。
しかし、特定疾患という分野にフォーカスしてみると、必ずしもそうとは言えない現状があります。
国、あるいは自治体により事業化されており研究が進んではいるものの、欧米などと比較すれば、それは明らかに遅れていると言わざるを得ません。

特定疾患の研究には、当然ながら研究医の存在が欠かせないものとなります。
ところが、医師研修制度の変革とともに大学から距離を置く医師が増えたことにより、研究医の数も減少傾向が顕著になってきています。
これは基礎系、臨床系ともに同じことが言え、研究そのものの量が失われ、それがやがて質にも悪影響を及ぼすこともほぼ間違いないでしょう。
特定疾患の分野においてはさらなるダメージとなり、世界へと追いつくどころか、さらに遅れることが懸念されます。

若い医師には、特に特定疾患分野での研究に積極的に飛び込んで欲しいと願うばかりです。

特定疾患の治療に携わりたいなら研究医を目指すのがおすすめ

特定疾患の研究や治療に興味を持つ医師がいないわけではないでしょう。
むしろ日本の現状と未来を憂慮すれば、積極的にこの分野に関わりたい、携わりたいと考える医師も多く出てくるはずです。
もし特定疾患に興味があれば、より貢献度の高い研究医を目指すべきではないでしょうか。

臨床医師も当然ながら大きな意義を抱えています。
しかし、診療のみでは医学の進歩・発展はありません。
研究医が存在してこそ医学の進歩や発展があり、難病と表現されるような疾患に関しては、さらにその存在が重要になってくるのです。

多忙を極めるかもしれませんが、臨床と研究は両立できます。
研究室にこもり研究に没頭することも一つの選択肢ですし、そのような存在も我が国の医療にとって重要ではありますが、臨床現場において治療にも携わりながら研究医として新たな知識や技術の研鑽に精を出すことも、決して非現実的な選択とはならないはずです。

特定疾患においては患者の症状や状況などの観察も不可欠になってきますから、よりそうした形での研修医の在り方にこだわることも、一つの考え方となってくるでしょう。
もちろん基礎研究も重要な分野ではあるため、どのような形で特定疾患や研究そのものに取り組むのがベストなのかを検討した上で、改めて就職先や転職先を検討してみるべきでなのかもしれません。

研究医の現状

研究医に興味がある、あるいは今後も続けていくか否か検討しているのであれば、現在の我が国の研究医がどのような状況に置かれているのかを把握しておく必要があるでしょう。
現状を知ることで強い使命感を抱くのか、それとも研究という分野から距離をおくのかはその人次第とはなりますが、前者が多いことを期待せずにはいられません。

研究医になる方法

医学研究を行うだけであれば、医師免許を取得している必要はありません。
しかし、研究医は文字通り研究に携わる医師であるため、医師免許の取得が必須となります。
大学の医学部で学び、医師国家試験をパスし医師免許を取得後、臨床研修を経て医学研究の道へと進む形が一般的でしょう。

それぞれの大学には研究室が設けられ、意欲を持つ医師たちが研究医として日夜それぞれの研究に没頭しています。
ただ、当然そうした研究室に雇われなければ研究を行うことができませんし、研究医という立場にもなれません。
研究所は病院に設けられていることもあれば、民間の研究室も存在しているため、選択肢そのものはさほど狭いわけではないでしょう。

研究医の場合には海外の医療施設等も当然視野に入ってくるはずです。
あとはそうした各施設等に採用されること、これが研究医となるための大まかな流れとなります。

研究医は慢性的な人手不足に陥っているのが現状

すでに少し触れてはいますが、国内の研究医は減少の一途を辿っている現状があります。
医師の数そのものは増加傾向にあるのでこれから改善を期待したいところではありますが、医師免許を取得した人の中で、一定の割合の医師が必ず研究分野の門を叩くとは限りません。
増えた医師がそのまま臨床医師となる可能性も十分にあり、これでは研究医の慢性的な不足状況を改善することが非常に難しくなってしまうでしょう。

事実、新たな臨床研修制度により臨床を志す医師の傾向が強まっていますし、大学での研修に価値を感じなくなっている医師も多く大学や大学院側が医師の確保に苦労している現状から、特に若い医師が大学の研究室へと入る道筋が徐々に閉ざされていることも、その原因の一端と見られています。
医師のスキルや能力を伸ばすための制度が研究医の減少に拍車をかけてしまっている状況は少々皮肉ではありますが、それが現在の状況であることは間違いありません。

研究医の年収

研究医を目指す医師や若者が減っている原因の一つに、どうやら収入もあるようです。
医師免許を取得し働く人は概ね高収入であるイメージを持たれがちですが、研究医は必ずしもそうとは言い切れません。

20代から30代程度の研究医の場合、年収は300万円から600万円ほどと言われています。
20代であれば400万円前後がいいところでしょうし、30代になっても特別な役職に就かない限りは600万円以上受け取ることは難しいでしょう。
これは民間病院と比べると低い水準で、この点も研究医よりも臨床医を志す医師が多くなる原因と考えられます。

大学の研究室で働く研究医で、教授や准教授クラスとなれば、年収1,000万円を超えてきます。
講師で800万円前後ではないでしょうか。
若い医師と比べれば多くの収入があると言えますが、医局の中で腕を振るう実力者と比べれば低い傾向がありますし、ましては開業医などと比べてしまうと、やはり非常に少ないと言わざるを得ません。

研究医には民間の研究室等で働く選択肢もあり、そうしたケースでは、若いうちからもう少し良い待遇で研究を続けられることもあります。
研究内容や設備等で決めるのか、それとも年収額で就職先や転職先を決定するのかは個人の考えによりますが、一つの目安として頭に入れておいてはどうでしょうか。

都道府県別の医師求人状況

ここからは、各都道府県の医師求人の状況に触れていきます。
それぞれのエリアで求人の数や内容に違いや差があります。
働きたいエリアがあらかじめ決定している人もいるかもしれませんが、それぞれのエリアの特色を知れば、より選択肢の拡大へと繋がるのではないでしょうか。

  • 北海道

    北海道は、必要医師数は比較的少なく、一見すると医師不足が深刻である印象は受けません。
    しかしそれは都市部に医療施設や働く医師たちが集中しているに過ぎず、実態は北海道内での医師の偏在が深刻な課題となっている状況です。
    そのため、求人は常に存在し、特に根室や釧路などでは医師募集が尽きないのが現状です。
    都市部でも医師の負担を減らすために求人を出すことが多く、提示年収も他のエリアと比べると高めなので、年収アップを狙う医師にとっては有益な求人を多く見つけることができるでしょう。
  • 東北地方

    東北地方では、特定の研究分野や診療分野が他の地域より抜きん出ている状況にはないため、求人も比較的内科系や外科系が多くなっています。
    内科に関しても一般及び総合内科の求人が目立ち、外科も一般外科の募集を多く目にすることができるでしょう。
  • 関東地方

    関東は東京を中心に医療施設や機関、クリニック等、あるいは医学研究等を行っている企業も非常に多いため、求人の数もその他のエリアとは比べ物にならないほど多く出回っています。
    分野も幅広く、限定はされません。
    関東圏の中でも都県によって特徴はありますが、概ねどの分野の求人も確認することが可能でしょう。
  • 中部地方

    大学の医学部が集中する愛知県では、多様な求人を目にすることが可能です。
    それこそ研究医の求人ともタイミングが合えば出会えるかもしれません。
    岐阜や静岡、三重あたりでは一般内科や一般外科などの求人が多く、これは単純に医師の不足状態が原因と見られています。
    北信越エリアに関しても内科や外科の求人が多い状況は変わりません。
    民間病院の求人も出ているため、分野の選択肢はさほど広くはないものの、勤め先という観点から見れば選択肢は比較的多い状況と言えるでしょう。
  • 近畿地方

    大阪を中心に、かなり多くの求人が出ています。
    都市部では特に医療機関の充実を図る傾向が見られるため、研究室を含め、大規模施設や大学病院などの求人も見つけることが可能です。
    ただ、郊外では医師不足が深刻化しているため、特定の分野というよりは、広く診療が行える医師の募集が目立ちます。
  • 中国地方

    医局の影響力が非常に強いエリアとして知られています。
    ただ、近年は広く医師を募集する医療施設等も増えてきており、また、診療所の増加もあって、特定の分野に縛られない求人が出回るようになっています。
    慢性的に医師不足の状態であることから、比較的年収の高い求人も見つけやすいでしょう。
  • 四国地方

    四国地方も、やはり医師不足が顕著です。
    待遇の良い求人がある一方で、ハードな勤務を求められる求人も多く、求人内容や各医療施設の見極めがポイントとなってきそうです。
  • 九州地方

    都市部とそれ以外の状況にかなりの違いがあるエリアです。
    そのため、求人内容にも相当の違いがあると思っておくべきでしょう。
    医大の多くあるエリアにおいては規模も大きく設備も充実した病院の求人がとめどなく出ている状況です。

上記の結果は転職を考える医師が多いことも関係していそうです。
若い医師が経験を積むのに適した求人も多いため、そこに魅力を感じればチェックすべきエリアとなるでしょう。
それ以外のエリアにおいては、労働環境と待遇がアンバランスな求人ともしばしば遭遇するかもしれません。