少しづつ確実に体の自由が利かなくなる【脊髄小脳変性症の症状】

少しづつ確実に体の自由が利かなくなる【脊髄小脳変性症の症状】

脊髄小脳変性症の症状

神経細胞に異常が発生することにより罹患するのが脊髄小脳変性症であるため、そうした神経系の異常により症状が出現します。
上手に歩けなくなることや、頻繁に転んでしまうなどの症状を引き起こします。
また、手を静止した状態を保てなくなることもありますし、ろれつが回らず上手に喋れなくなる症状なども見られます。

いくつかの病気に分類されるため、それにより症状にも違いが見られますが、神経系の病気であるため、通常であれば問題なくこなせる動作ができなくなるという症状が一般的です。
いわゆる運動失調症が現れると考えておくといいでしょう。

病気の型によっては眼球の制御ができなくなる眼振や、筋肉の萎縮が見られるケースもあります。
めまいを感じる病気もありますし、自らの意思とは関係なく体が動いてしまう不随意運動などもしばしば出現します。

引用:http://plaza.umin.ac.jp/~pmd/image.html

罹患する原因

脊髄小脳変性症は、遺伝性のものと非遺伝性のものが存在しています。
その中で遺伝により罹患する可能性のある病気は全体の3割ほどとなっています。

つまり、孤発性の病気は全体の7割となるため、遺伝とは関係なく発症する確率の方が高いと言えます。
脊髄小脳変性症は、その原因となる遺伝子と異常が比較的明らかになってきています。
遺伝子の配列が正常な遺伝子よりも長くなっていることにより、一部の脊髄小脳変性症が発症することも判明済みです。

ただ、異常のある神経がそれぞれの病気で異なり、各病気で異常の認められる遺伝子も異なるため、それぞれで詳細な原因を探っていかなければいけません。
遺伝性のものも孤発性のものも、遺伝子とその異常に関しては研究が続けられ疾患の原因も判明しつつあるものの、どうしてその異常が発生するのかという点についてはまだ不明な点があることも事実です。中には症状は出ているものの原因の遺伝子がわからないままのケースもあり、今後はさらにそうした点も含めて研究が進むことが期待されています。

疾患の概要

小脳及び脊髄の神経細胞に異常があることで発症する病気を、脊髄小脳変性症と呼んでいます。
つまり、それらの部位の神経細胞に異常があれば脊髄小脳変性症と称することができるわけです。
このように幾つもの病気のことを指す総称なのですが、その中でも日本人罹患者が比較的多いのが以下の3つです。

  • 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)
  • マシャド・ジョセフ病(MJD/SCA3)
  • SCA6

この中で最も罹患者が多いのがマシャド・ジョセフ病です。
この病気はさらに4つのタイプに分類されています。
それぞれで発症する年代が異なり、症状も異なる点に特徴があります。
元々はポルトガルに由来する病気と見られていましたが、その後世界中でこの疾患を患う人が発見されています。

SCA6は、日本においてはマシャド・ジョセフ病の次に罹患者が多い疾患です。
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症が日本で最初に認められたのは、1970年代のこと。
年齢はほぼ関係なく発症し、しかし年代により出現する症状が異なる点が特徴です。

罹患者数

現在日本では、約3万人もの脊髄小脳変性症患者がいるとされています。
説明してきたように一つの疾患に限定されず、また、多系統萎縮症もこれに含め考えられることが多いため、正確な罹患者数を特定するのは難しいのが現状でしょう。
他の難病と比較しても罹患者数が多くなるのも、こうしたところに理由があります。

脊髄小脳変性症全体で見れば、乳幼児からお年寄りまで幅広く発症します。
病気によって性差も異なりますが、これもこの疾患全体で見た時には男性が女性よりも1.5倍ほど多く発症することが認められています。

治療とケア

脊髄小脳変性症を完治させるような治療法は、まだ発見されていません。
原因は遺伝子異常を中心に次々と判明しているものの、そこにアプローチし原因そのものを取り除くような治療法は、まだまだ登場してこないでしょう。

症状がそれ以上進行するのを食い止める薬物の研究が進められている状況に過ぎず、それもいつ人に対して使えるようになるかは不透明です。
対症療法としては、プロチレリン酒石酸塩やタルチレリン水和物により運動機能を改善させるなど、それぞれの症状に対して薬物でケアすることになります。

予後

進行性ではあるものの、その進み方が非常に遅い点が脊髄小脳変性症の一つの特徴です。
ただ、この進行具合は病気や罹患者により変わってきます。
急激に悪化するケースはほぼありませんが、どのような変化があるのかは慎重に観察する必要があるでしょう。

進行が進むと、自律神経機能に問題が生じ、例えば息苦しくなったり血圧や体温の調整が正常に行われなくなることがあります。
発症後平均5年で車いす生活を余儀なくされ、8年で寝たきり常体になります。
将来的には介護が必要不可欠になるので、現時点では予後は非常に悪いと言えます。

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