様々な症状を併発する【ベーチェット病の症状】

様々な症状を併発する【ベーチェット病の症状】

ベーチェット病の症状

ベーチェット病には主症状と副症状が複数確認されていますが、非常に多岐にわたる症状が出てくる点がこの疾患の一つの特徴とされています。
主症状は主に4つです。

引用:https://www.ishamachi.com/?p=31515

アフタ性潰瘍

口の中、例えば頬粘膜や舌、歯肉などに楕円も含めた円形の潰瘍が出現します。
罹患したほとんどの患者がこの症状に見舞われる点で、この疾患の特徴的症状と言っても差し支えないでしょう。
その発症率は98%にものぼります。また、このアフタ性潰瘍は再発性のため、当症状を繰り返すことになります。

失明

最悪の場合には失明の可能性もある眼症状もこの疾患の症状の一つです。
両眼ともにぶどう膜炎などを患い、そのほかにも眼痛や充血などが起こる可能性もあります。
網膜結膜炎による視力低下の危険もあることから、ベーチェット病が引き起こす症状の中でも重要なものと位置付けられることが多いでしょう。

皮膚症状

ニキビのようなできものが顔や首、胸などに出現する皮膚症状もこの罹患が引き起こすものの一つ。
脚や腕への皮疹の出現、膝下への静脈炎の出現などもあり、少々の刺激でも皮膚に傷がつくなどデリケートな状態になることもあります。

外陰部の潰瘍

この疾患の特徴的症状の一つで、外陰部潰瘍は多くの場合痛みを伴います。

そのほかには関節に痛みが出ることもあれば、血管や神経の病変、男性の中ではごく稀にではありますが副睾丸炎を患うケースもあり、こうした副症状を含め、様々な症状により患者は苦しめられることになるでしょう。

罹患する原因

難病の中では比較的知られた存在ではあるベーチェット病ではありますが、何が原因で発症するのかは判明していません。
ただ、遺伝要因と環境要因のどちらかのみではなく、双方が何らかの関連性を持った時に白血球が異常な働きをし、この疾患を引き起こすという見方が一般化してきています。

白血球は人により型が異なることがありますが、その中でもHLA-B51やHLA-A26の型を有している人がこの疾患を発症しやすいこともわかっており、これが遺伝要因のうちの一つではないかという考え方も広がってきています。全ての人に該当しているわけではありませんが、何かしらの関連性があるのは間違い無いでしょう。
近年ではこの疾患を引き起こすと見られる遺伝子が定められてきているので、そう遠くはないうちに機序についても解明されるはずです。

疾患の概要

ベーチェット病は炎症性の病気です。
トルコ人医師のベーチェット氏の名から、こう呼ばれるようになっています。彼は、これを新しい疾患であると訴えました。
それまでも症状自体は知られており報告があったのですが、他の疾患やちょっとした体調の変化で発症する症状もあったことから、ベーチェット氏が主張するまで、それまでとは異なる原因による病気であると認められてこなかった経緯があります。

日本をはじめとしたアジアの国や地域を中心に発症する疾患であり、シルクロード病と呼ばれることもあります。
遺伝要因が疑われていることからも、このあたりは関連性があるのではないでしょうか。

罹患者数

日本国内には、2万人の罹患者がいると推定されています。

この疾患を患う人の多い国や地域の中でも、最も多くの罹患者がいるのが日本です。
人口が比較的多いことも関連しているとは考えられますが、中国の罹患者数よりも多いことを考慮すると、遺伝要因や環境要因のどちらも日本にとって罹患しやすい要因が揃っているという見方もできるでしょう。

ちなみに、人口比ではトルコが最も高い発症率となっています。
男性の方が重症化しやすい傾向はあるものの、女性の発症率が決して低いわけではありません。

治療とケア

紹介したように、この疾患の症状は限定されません。
それぞれの症状や程度により治療法やケア方法を個別に模索していくことになります。

例えば眼症状に対しては、症状が出てくれば副腎皮質ステロイドなどを用いますし、コルヒチンやシクロスポリンを症状が出るのを抑える目的で投与することもあります。
アフタ性潰瘍や陰部潰瘍に対してもステロイド剤が有効で、ケアとして幹部を清潔に保つための指導も医師によって行われることがあります。

やはりコルヒチンを服用することもあれば、セファランチンやエイコサペンタエン酸が選択されることもあり、これらは症状や、それが重度か軽度か、あるいは相性などによっても選択が変わってくるでしょう。

予後

眼症状は重度のものとなると失明の恐れもありますが、それが避けられれば予後は比較的落ち着いていると言えるでしょう。
ぶどう膜炎を発症すると視力の低下はほぼ免れません。

シクロスポリンにより視力低下の程度を抑えることはできるようになってきてはいるものの、それでも限界があると言わざるを得ません。
症状によっては後遺症が残ることもありますが、徐々に適合する薬品の開発等も進んできているので、予後に関しては希望が持てる状態となりつつあるのではないでしょうか。

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