脳の血管に生じる疾患【モヤモヤ病の症状】

脳の血管に生じる疾患【モヤモヤ病の症状】

モヤモヤ病の症状

モヤモヤ病は脳の血管に異常が発生し、血流や酸素の滞りなどによって各症状が現れる疾患です。
症状としては四肢に麻痺が確認されたり、言語障害に陥ることもあります。
知覚や視覚に異常が現れるといった症状もあり、脳梗塞や脳出血と同様の症状が出ると考えるとわかりやすいでしょう。
精神発達の遅延や知能低下なども、この疾患の症状の代表的なものです。

ただ、モヤモヤ病の症状に関しては一時的なものも珍しくはありません。
つまり発作的に症状が起こるので、そうしたケースではモヤモヤ病であることを当初は疑わない人も多いでしょう。
頭痛などの軽い症状も認められますが、これも最初はあまり気にする罹患者は少ないのかもしれません。

小児に関しては、通常とは異なる呼吸を行った際に症状が出ることがあります。
例えば吹奏楽器を使用したり、熱いものを食べる時に口で冷ます動きをしたりなどが代表的な例です。
大きな声を出したとき、泣きわめいた時、もちろん運動した時にも発作が出ることがあります。
注意力や記憶力に問題が見られることもあり、こうした高次脳機能障害はモヤモヤ病に罹患した末の症状となります。

引用:http://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/dis02/

罹患する原因

モヤモヤ病が発症する原因は未だに不明の状況です。
症状については説明したようなことが起こり、また、それは脳に血液や酸素が行き渡らなくなることから起こるもので、つまり、血管が細くなることや、逆に拡張し過ぎることでそれらの症状がもたらされることはわかっていますが、その血管の異常が何を原因として起こるのかについてははっきりとしていません。

現段階でわかっていることは、モヤモヤ病に罹患する患者さんに共通した遺伝子があるということです。
ただこれも、すべての人に共通しているわけではなく、その遺伝子を有していない人でもこの疾患を患うケースもあるため、それを原因として特定することは難しい状況にあります。

遺伝子が関係していたとしても、モヤモヤ病そのものが遺伝するというデータもまだまだ少ないために、原因の究明は難航しそうです。
家系によってはこの疾患が発症しやすいという報告はありますが、遺伝子以外の要因も多分にあるという見方の方が優勢でしょう。

疾患の概要

モヤモヤ病を発症すると、ウィリス動脈輪を形成する動脈に異常が起こり各症状が出現しますが、そのためこの疾患はウィリス動脈輪閉塞症とも表現されます。
MRIやMRAなどの診断で発見されることの多い疾患ではありますが、脳血管撮影を行うことでより確実にモヤモヤ病か否かを判別することが可能です。
その際に血管がモヤモヤとした状態に写ることから、モヤモヤ病と呼ばれています。
ちなみに、このモヤモヤとは煙に例えられています。

罹患者数

2万に届こうかという数のモヤモヤ病罹患者が、現在日本には存在しています。
毎年1,000人ずつのペースで増え続けている状況です。
人口10万人あたり10人弱ほどの人が罹患しているのではないかと推定されています。

少しずつ増加傾向にはあるわけですが、これは新たにモヤモヤ病が発症した患者さんはもちろん、検診などによってすでに発症している人が新たに発見されるというケースも含まれるため、潜在的な患者数を考慮すれば、最低でもこの程度であると考えるべきなのかもしれません。

遺伝子が関連していると推測されるため、家族内での発症も当然あるわけですが、それでもその率は10%ほどとなっており、高い低いの判断がしにくい状況にあります。ただ、家族にモヤモヤ病患者がいるのであれば、当然留意しながら、こまめな検診を受けることが重要となってくるでしょう。
発症の割合は女性の方が多く、男性と比較すると1:1.8となっています。
年齢においては10歳以下と40歳あたり、この2つの年代で多く発症することも確認されています。

治療とケア

まずは血管がどのような状態になっているのかを見極める必要があります。
脳梗塞と脳出血の両者でモヤモヤ病の発症が認められるため、例えば血液の流れを良くするための投薬を行うと、それがかえって重い症状につながることもあるので、慎重さが求められます。

もちろん投薬による治療も行われますが、治療方法として最も効果的なのが、バイパス手術です。
直接バイパスと間接バイパスが存在し、これも状況を見ながら選択されることになるでしょう。
特に重症の場合には即座にこうした外科的治療を行う必要が出てきます。

予後

発作が出はするものの、さほど症状が変わらずそのまま何十年も過ごす罹患者も中にはいます。
ただ、進行性の疾患であるため、安定していると思われても定期的な検診は欠かせません。

罹患者の大半(7割ほど)は日常生活にも特に問題がないとされていますが、脳出血や脳梗塞などが起これば障害が残り、後遺症などのリスクも高まるでしょう。
子供が発症したケースでは頭痛などに悩まされたり、成人では高次脳機能障害を患うことも多く、生活に支障が出るケースも少なくありません。

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