ツリーマン症候群の症状
手や足、顔など体のあらゆる部位に斑やイボが出現することが、主な症状として知られています。
このイボなどは多くの人がイメージするようなものではなく、さらに大きく固くなる点に特徴があり、また、このイボが成長することもツリーマン症候群の罹患者に見られる症状です。
そのイボは患者によって大きさなどが異なってはきますが、黄土色や茶系色のものが多く、それが成長することで木の枝のようになります。
それがさらに成長し量も増えれば、手や足などが樹木に例えられるほどの状態となり、それがツリーマン症候群という名称の由来にもなっています。
手や足に巨大なイボが形成されるため、日常生活にも支障をきたします。
ものを掴むのも困難になり、ごく一般的な靴を履くなどもできなくなることから、行動が随分と制限されることになるでしょう。
イボができることによる痛みは感じないとされてはいますが、どちらかといえば精神的苦痛を受けるケースが多いため、それもツリーマン症候群の症状の一つと言えるのかもしれません。
引用:http://www.showmethescience.net/10-most-bizarre-medical-conditions/
罹患する原因
ツリーマン症候群を発症する原因と言われているのが、ヒトパピローマウイルスです。
このウイルス自体は100以上の種類があることがわかっており、そのタイプによって発症する疾患や症状などが異なるという特徴を持っています。
ツリーマン症候群に罹患していない人であっても、このウイルスによってイボができることもあり、また、一部がんの発生に関係しているとも言われていますが、ツリーマン症候群の主たる原因とされているのはヒトパピローマウイルスの中でも5型や8型と呼ばれるものとされています。
もちろんこれらのウイルスだけではこの疾患には罹患しません。
ツリーマン症候群を発症する人はこれらのウイルスに対する抗体を作り出すことができず、イボが成長し続けてしまうのです。
この免疫抗体が作られない現象は環境要因など外的なものではなく、遺伝的な異常が原因であると考えられています。
遺伝子EVER1及びEVER2に問題があることもわかってきてはいますが、そのメカニズムは未だに不明です。
また、一部の罹患者では傷を負ったことでイボが出来始め、それが成長したという事例も報告されています。
それが事実かはわからないものの、急激にイボが成長する一つのきっかけとなったと考えることはできるのかもしれません。
疾患の概要
ツリーマン症候群は、樹木男症候群という表記の仕方もしばしば見られますが、正式名称は「疣贅状表皮発育異常症」と名付けられています。
インドネシアの男性が、この疾患に罹患している中では最も有名ではないでしょうか。
日本でもメディアなどに取り上げられており、通称ツリーマンと呼ばれていました。そのためツリーマン症候群と呼ばれるようになったわけです。
当初は男性のみの罹患者しか報告されていないこともありツリーマン症候群や樹木男症候群という呼び名、あるいは表記でも違和感はありませんでしたが、現在では女性の罹患者の報告も出てきているため、今後は通称にも多少の配慮が必要となるかもしれません。
罹患者数
ツリーマン症候群の罹患者数は、世界でも数名しか確認されていません。(Wikipediaによると4人)
この疾患を発症した人の住む国を見てみると、中国やバングラディシュ、インドネシアなどのアジア圏内が多く、ルーマニアでも1人の罹患者が確認されていますが、現在のところはやはりアジア系に発症傾向があると見られます。
述べたように数例しか症例がないため、断定的なことは言えません。
日本人の症例は確認されていないようです。
現在のところは男性の方が多く罹患しているのですが、10歳の少女も疣贅状表皮発育異常症を発症しているため、性差はあまりないとするのが自然な見方ではないでしょうか。
治療とケア
原因となる遺伝子やウイルスに関しては解明が進んではいますが、それらがどう作用しツリーマン症候群を発症するのか確たる原因が明らかになっているわけではないため、治療法についても未だに確立されていないのが現状です。
完治させる手段は今のところ皆無であると言ってもいいでしょう。
ツリーマン症候群の罹患者の中には外科的治療によってイボを取り除いたケースもあります。
イボやコブを取り除くこと自体は可能であるものの、術後に再びイボが発生する症状はどの罹患者にも共通しており、やはり決定的な治療法はないと言わざるを得ないでしょう。
予後
症例数が極端に少ない難病のため、予後に関しても確かなことはわかりません。
多くの罹患者はイボが成長しており、切除及び摘出手術を行っても、再び術前のような状態に戻ってしまいます。
イボが出来た手足は変形が見られ、骨が弱くなるといった報告もあり、すべての罹患者に当てはまるかは不明ですが、そのような経過を辿ることも十分に考えられるでしょう。
ツリーマン症候群に罹患した1人の男性は、多機能不全により死亡したとの報告もあります。