サルコイドーシスの症状
難病の一つであるサルコイドーシスは、その症状が限定されません。
息切れや皮疹など、本人に自覚症状がある場合もあり、不整脈や神経麻痺による症状が出ることもあります。
ですがその一方で、一部なかなか症状が表に出てこない、感じられないものもあるなど、それが一様ではない点がこの疾患の特徴です。
今挙げたいくつかの症状は臓器特異的症状で、罹患した臓器ごとに現れる症状です。
これには他にも、咳や痰が出やすくなるなどの軽度のものもあれば、筋肉腫瘤や骨痛などの症状もありますし、ぶどう膜炎など、罹患した臓器によって現れる症状も異なってきます。
また、こうした症状は突発的に現れるものもあれば慢性的に発症するものもあるなど、やはり一様ではありません。
こうした臓器特異的症状とは別に、全身症状を引き起こすこともあります。
熱が出る、体重が減る、疲れを感じるなどが代表的なものでしょう。
全身に痛みを感じることもあれば脱力感に襲われる人もいます。
この特定の臓器に限定されない全身症状の場合には、特に疾患に罹患していない人が普段の生活の中で感じられる程度のものも多々あるため、サルコイドーシスとの診断が遅れることも珍しくありません。
症状の出方には強弱もあり、もしそれが強く出てしまえば生活に支障をきたすこともあります。
引用:http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000646.html
罹患する原因
難病の中には罹患の原因が特定されていないものも多々ありますが、サルコイドーシスもその一つです。
この疾患の原因となりうる何らかの物質(抗原)が体内に入り込むことでTh1型細胞に免疫反応が起こり、それが各臓器に炎症反応を引き起こすことで症状が出ると見られています。
肉芽腫形成が異物の侵入により体内で行われていることが原因と考えられているわけですが、プロピオニバクテリア、いわゆるアクネ菌や結核菌などがその“異物”であると指摘する声もあるものの、明確なことは解明されていないのが現状です。
ヒト白血球抗原遺伝子など特定の遺伝子により、この肉芽腫形成が起こりうるという学説もあり、原因の解明へと近づいていることは間違いないでしょう。
疾患の概要
説明したように、サルコイドーシスはあらゆる臓器に発症する難病です。
こうした病気は、特定の性別や年代に集中して発症することも少なくありませんが、サルコイドーシスは年齢は関係なく、若い人からお年寄りまで罹患する可能性があります。
症状も罹患した臓器や人により差があり、その後どのような症状へと変化し、あるいは回復へと向かうのかといった点にも個人差があるのも特徴です。
罹患者数
現在、日本におけるサルコイドーシスの患者数は3万人ほどです。
難病に指定されている疾患は、その治療や回復にも時間を要することが多いため年々患者数が増えていくものですが、サルコイドーシスも同様に、1年間で1,000〜2,000人ほどのペースでその数を増やし続けています。
ただ、この疾患は症状が出ない、あるいは健康な人が日常生活でも頻繁に感じやすい症状が出るケースも少なくないため、潜在的な患者数はさらに多いことが予想されます。
治療とケア
サルコイドーシスは原因がまだ解明されていないため、治療法に関しても確立はされていません。
ただ、肉芽腫が形成されることから、そこへのアプローチは可能であり、その炎症を抑えるための処置が施されるのが一般的です。
臓器への罹患により日常生活に支障が出るケースでは、副腎皮質ステロイド薬を投与することが現在可能な治療の一つであり、最初に行われる治療となります。
ただ、これは対症療法のため、この疾患を根本から治療することには繋がりません。
もし副腎皮質ステロイド薬で有効な効果が見られない場合は、免疫抑制剤が選択されます。
サルコイドーシスは特にこうした投薬などせずとも症状が改善することもあり、生活に特に支障をきたすことがなければ、経過を見る程度に留められることも珍しくはありません。
もし眼や皮膚などに特定の症状が出た場合には、それぞれに対して治療が行われます。
もちろんこれも症状を軽減するための治療のため、サルコイドーシスそのものの治療に繋がるものではありません。
予後
これだけ症状やそれが発症する臓器なども異なれば、経過の辿り方にも当然個人差が出てくるものです。
症状がどれほどの強さなのか、あるいはどの部分にどのような症状が出ているのかによっても予後が変わってきます。
それほど深刻なものでなければ1〜2年の間に症状も改善し特別な治療を施さなくても問題がなくなるケースもあるでしょう。
遷延性のものであれば5年ほどかかるケースも出てきます。
症状が非常に強く発現し、治療を施してもそれの効果があまり見られない例もあり、そうした場合にはさらに長い期間この疾患に悩まされることになります。
それこそ10年以上、20年や30年といった期間、この病と付き合っていかなければいけません。
進行性も一部で認められるため、こうしたケースでも長期の療養が必要となるでしょう。